「体感型古代エジプト展 ツタンカーメンの青春」が7月1日、角川武蔵野ミュージアム(所沢市東所沢和田3)1階のグランドギャラリーで始まった。
同展は「歴史の中に物語がある」というテーマに基づき、3000余年前の歴史上の人物として捉えがちなツタンカーメンを生身の人間として捉え、その時代にどう生きて、どんな生活をしていたか、何を思ったかなどを考えながら巡る展示空間となっている。
展示会場を入ってすぐの空間にはツタンカーメンの王墓を再現した部屋がある。次の部屋は第1章から第4章までの各エリアに分かれており、ツタンカーメンの青春、ミイラ、古代エジプトの象形文字であるヒエログリフ、信仰についてなど、歴史や文化に触れられる内容となっている。
初めの部屋に入ると100年前にタイムスリップし、次の部屋に入ると3000年前にタイムスリップするなど、次々に「深く学べる」ような展示を用意。展示品は、首飾りや胸飾りなどの装飾品、埴輪、黄金のミイラ、ツタンカーメンが生活していた部屋などを再現している。監修した名古屋大学高等研究院准教授の河江肖剰さんは「古代エジプトやツタンカーメンについて何も知らない人にこそ、見てほしい」という。「例えば、ツタンカーメンが15歳のとき、『自分はどうだっただろうか』など、より身近に感じられる見せ方にも挑戦した。自分の人生に照らし合わせながら、いろいろな想像をしてほしい」とも。
同展の見どころの一つは、世界に3セットしかない「スーパーレプリカ」による展示。黄金のマスクや王座のほか、王墓に収められていた埋葬品のうち約130点が精巧に再現され、細かい技法まで見られるのが特徴。「デジタルのアプローチと考古学のアプローチを融合させ、映像・音響・演出など各界のエキスパートが集結し、同展を作り上げた」という。映像は、3Dスキャンデータから映像化し、超大型スクリーンに投影する。
「あえて説明パネルを少なくし、展示物や映像を多くしているのは、『まずは感じてほしい』という思いから」と河江さん。「遺物そのものに語らせる」「ストーリーを見せる」ことにこだわったという演出は、「古代に興味がない人や子どもたち、学生にも楽しんでもらえるように、入りは簡単に、そして進んで行くとどんどん知りたくなるような見せ方にした。これをきっかけに、展示を見た若者が本物を見に行ったり、興味を持ってくれたりするとうれしい」と話す。
開館時間は10時~18時(金曜・土曜は21時まで)。第1・第3・第5火曜休館。当日入場料は、一般=2,400円、中高生=1,800円、小学生=1,000円、未就学児無料。11月20日まで。